ブルーに生まれついて

去年のクリスマス、この映画を見に渋谷の文化村へ。

 

Born to be blue

 

去年は、アニメーションもマスターピースが一杯ありましたが、音楽映画もまた豊穣な取れ高がありましたね。この映画は、結構話題になっているのでストーリーラインの解説はしないんですが、結構奇妙な映画でした。夢と現実が混濁して失調めいた感覚に陥りやすいというか。

最初は、バードランドでチェットが初公演をしてモノクロームでマイルスなどと邂逅するところが描かれているのですが、それが終わると部屋でヘロインをきめるチェットベイカーになっていてそれ自体が映画の撮影シーンでカットがかかり、主演女優を口説きにかかってるという構成になっているのです。この叙述トリックめいたかましが最初にあって時間軸が少しシンコペーションしたまま後のストーリーが展開されていくというか。(ちなみにこの映画のシーンは、後半まったくでてこないのでsus4めいた未解決感で放り投げます。)

映画自体は、チェットベイカーの伝記映画風ではあるのですが、脚色されてこんないい時間も彼にはあったらなぁという監督の願望が色濃くにじんでいて巧く現実の後半生につなげて終わります。

音楽映画ではあるのですが少しデビッドリンチめいた白昼夢を見た気分になりたい方、おススメです。

 

現実のチェットベイカーの破滅的などうしようもなさを知りたくて、終わりなき闇というチェットベイカーの伝記を探しているのですが廃盤で古本も手に入らない(きっとこんなろくでもないのが彼であるはずがないと本を読んだ人も移入しているのであろうか。)ので、図書館でこれも読んでみようと思います。

それでは、ごきげんよう。